今月のコラム 文⁄塾長 大山重憲
不断
イギリスの作家ジェームスアレンの著書『As A Man Thinketh』から、本年を締めくくる言葉を紹介します。
思慮の浅い人や無知な者、そして怠惰な人は物事の外側だけを見ます。そのものの本質に目を向けません。 そして、運やツキや幸運の話をします。ある人が大成功したのを見て、彼らは「なんてやつはついているんだろう！」と言うでしょう。別のある人が学問的な発見を成就するのを見て、彼らは声を大にして言います。「彼はなんて多くの才能に恵まれているのだろう！」そして、他人の素晴らしい性格やパワーに気付くと「彼は単に運が良かっただけだよね」と感想を漏らします。
そう言う人々は、成功した人が成功するために自ら進んでチャレンジしてきた試練や失敗や苦しい戦いに目を向けることはないのです。成功者が払ってきた犠牲や不屈の努力、燃やしてきた信念にきづかないのです。克服しがたいものを克服し、心に抱いてきたビジョンを実現してきたその軌跡に気付かないのです。光には必ず影があり、喜びの裏には必ず悲嘆があることも知りません。光と喜びという表面しか見ないのです。それを単なる生まれつきのもの、「運のよさ」と呼ぶのです。
長く辛い旅に思いをめぐらせることもしません。ただ、結果だけを見て、それを「素晴らしい幸運」と呼ぶのです。そこに至るまでの過程を理解せず、それを「ツキ」と呼ぶのです。
皆さん、すべての人間のすることには努力という原因があり、結果があります。努力の大きさが結果を決めるのです。単なるツキではありません。才能、力、物質的、知的、精神的な財産は努力の結晶です。それらはビジョンを具体化した結果です。達成された目標です。頭の中で描いているビジョン、心の中で求めている理想をもとにあなたは人生を築けます。思い描いているような人間になれるのです。
人が成し遂げるものと成し遂げられずに終わるもののすべては、彼自身が考えたこと、思考の直接的な結果です。ある人の弱さと強さ、正直さと不正直さは彼自身のものであって、他の人のものではありません。他人があなたを正直にしたり不正直にしたりすることはないのです。ですから、それらを変えることができるのは自分だけです。他の人には決してできません。
あなたがいる状況もまたあなた自身のものです。他人のものではありません。あなたの苦しみも幸福も内側から生じるものです。ひとは自分が考えたようになるものです。その人が考え続ける限り、その人はその考えた状態のままでいます。その人が自分は弱い人間だと思っている間は、弱い人間のままでいるわけです。強い人が弱い人を助けることはできないのです。ある程度のヒントを与えることはできますが、結局は、弱者は自分自身で強くならねばなりません。自らの努力で、ひそかに他人の強さを身につけて行くのです。 その人以外の誰にも、その人を変えることはできません。
人は、自分の心の状態を高めることによって向上します。勝利を得ます。目的を成就することができます。自分の思考、自分の心の状態を向上させることを拒む時に弱くなり、惨めになり、不幸のままでいることになります。犠牲を払わなければ何の進歩も何の達成もありません。そして、自分の計画を展開し、自分の決心や自信を強めることにどれだけ精魂を傾けるかにかかってくるでしょう。自分の心を高めるにつれて、その人はますます高潔で公正な人間となります。そして、ますます彼の成功は偉大なものとなります。もっともっと豊かで、永続的なものを達成することになるでしょう。
真実の世界では、欲深く、不正直で、不道徳な人を結局は排除します。世界は、正直で、寛大で、徳の高い人を助けるのです。今まで歴史上の全ての偉大な先達が様々な形でそう言い続けてきています。でも、それを証明し、認めるためには、あなたはただひたすらに己の心を向上させ、もっともっと徳の高い人物とならねばなりません。生命と自然、知恵と美と真実を探求することに捧げようと考えた結果、正しく知的な選択ができ、物事は成就されるのです。
