「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム 文⁄塾長 大山重憲

御守り

「今日はもう少し延長して勉強していく?」

「すみません。これから出かけるんです。」

「どこへ?」

「湯島天神にお守りを買いに行くんです。母親と。」

「お守りは『買う』んじゃないんだよ。合格させていただくようにお願いに行くんでしょ?自分を守ってくださるものを『授かり』に行く、と言わなくちゃいけない。」

中学3年生の男子生徒とのやり取りです。普段は特に信仰もなく宗教に関心があるわけでもないのに、入試のこの時期になると多くの受験生が神社などに「お願い」に行く。中には一つではなくたくさんの神社にお参りした方が「効果」があると「信じて」お参りし、カバンにお守りをいっぱいぶら下げている生徒もいる。

初詣も同様である。あっちの神社こっちの神社とお参りし、それとは別に厄除けにも詣でたりする人もいる。無病息災の御利益があると聞けば線香の煙を全身に浴びせる。お金持ちになる御利益があると聞けば手水でお金を洗い清める。恋愛が成就すると聞けば滝の水を柄杓(ひしゃく)ですくって飲む…。日本人の極めて特異な特徴である。

特定の宗教にこだわらず、いいと聞いたらなんでもその通りやってみるというのは、宗教の正邪を論じることとは全く別にエスプリの面からすると効果があることは否定できないと思う。「苦しい時に神頼みをすること」は人間の本性だからである。少なくとも人が苦境に直面した時、親や友人ではなく、目に見えない絶対的な主体に向かって救いを求めることは、その是非を待たず、人間の本性である。そうすることで不安や心配から解放され、安堵を得、平安を得られたら、それはそれでいい。救いを求めている人を非難することはできない。

験を担ぐ(げんをかつぐ)と言う。以前に良い結果が出た行為と同じことをして前途の吉兆を推し量るという意味である。私も経験がある。中学生の時、私は緊張すると腹痛を起こす性質があり、模擬試験の日は消化がいい物がいいと、母がサンドウィッチを作ってくれた。すると、お腹に負担を感じることなく腹痛も起こらず、試験結果もすごく良かった。以来、模擬試験の日は必ず母がサンドウィッチを作ってくれた。試験結果は安定して良かった。そのためなのかどうか科学的根拠は全くないのだが。そして入試当日、もちろん、いつも通り、そして合格した。

大学受験の時もそうである。その頃は母に負担をかけたくないという孝行心からか、昼ごはんは外食か、お弁当を買って食べたりしていた。そしてある模擬試験の日、今の様に開発される前のことである。大宮西口の駅前にキヨスクがあり、そこで「のりまきといなりセット」とお茶を買っていった。食べ過ぎないようにと少なめのお弁当だった。すると、試験結果が驚異的な結果だったのだ。自分ではないような…。以来、模試の日は例外なく「のりまきといなりセット」とお茶を買っていった。試験結果は改めて言うまでもない。そして大学入試当日、もちろん、いつも通り、そして合格した。

当時の私にとってはサンドウィッチとあの「のりまきといなりセット」とお茶がお守りだった。今の私にも、お守りがある。

さて、生徒にとって勉強は大きく重い荷物。得意な子には得意な子なりの悩みがあり、不得意な子には不得意な子なりの悩みがある。そんな「勉強の悩みの解決」のために1995年7月、フェニックスは生まれました。以来今年で20年が経ちます。面白いように成績が伸びた生徒、なかなか結果が出なかった生徒。第一志望校に合格して飛び上がって喜んだ生徒、涙を呑んで第二志望の高校に行った生徒。本当にいろいろなことがありました。その度に私たち講師達は生徒の悩みや課題にぴったり寄り添い、共有して、その解決のために努力してきました。それが仕事だからではありません。それが自分たちの悩みでもあり課題でもあるからです。

これからもずっと、私たちのこの精神と姿勢は変わりません。生徒と保護者の皆さんと一緒になって、前に進んでいきます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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