「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム 文⁄塾長 大山重憲

2012年12月

修身

先月号に引き続き、会津藩校日新館の心得を紹介します。

六、父母、目上の方々から用事を言いつけられた時は、謹んでその用件を承り、そのことを怠らないでやりな さい。自分を呼んでおられる時は、速やかに返事をして駆けつけなさい。どのようなことがあっても、そ の命令に背いたり、親を親とも思わないような返事をしてはいけません。
七、父母が寒さを心配して衣服を着るようにお勧めになったら、自分では寒くないと思っても衣服を身につけ なさい。なお、新たに衣服を用意してくださった時は、自分では気に入らないと思っても、謹んでいただ きなさい。
八、父母が常におられる畳の上には、ほんのちょっとしたことでも上がってはいけません。また、道の真ん中 は偉い人が通るところですから、子供は道の端を歩きなさい。そして、門の敷居は踏んではいけないし、 中央を通ってもいけません。ましてや、藩主や家老がお通りになる門はなおさらのことです。
九、先生または父母と付き合いがある人と途中で出会った時は、道の端に控えて礼をしなさい。決して軽々し く行先などを聞いてはいけません。もし、一緒に歩かなければならない時は、後ろについて歩きなさい。
十、他人の悪口を言ったり他人を理由もないのに笑ったりしてはいけません。あるいはふざけて高い所に登っ たり、川や池の水の深い所で危険なことをして遊んではいけません。
十一、すべて、まず学ぶことから始めなさい。そして、学習に際しては姿勢を正し、素直な気持ちになり、相 手を心から尊敬して教わりなさい。
十二、服装や姿かたちというものは、その人となりを示すものであるから、武士であるか、町人であるかがす ぐわかるように、武士は武士らしく衣服を正しく整えなさい。決して他人から非難されるようなことの ないようにしなさい。もとろん、どのように親しい間柄であっても、言葉遣いを崩してはいけません。 また、他の藩の人たちに通じないような、下品な言葉づかいをしてはいけません。
十三、自分が人に贈り物をする時でも、父がよろしく申しておりました、と言いそえ、また、贈り物をいただ い場合は、丁寧にお礼を述べながら父母もさぞかし喜びますと言いそえるようにしなければなりませ ん。すべてに対して父母をまず表に立てて、子が勝手に処理するのではないことを、相手にわかっても らえるようにしなければなりません。
十四、もしも、父母の手伝いをする時は、少しでも力を出すのを惜しんではいけません。まめに働きなさい。
十五、身分の高い人や目上の人が来た場合には、席を立って出迎え、帰る時も見送りをしなければなりません。 それにお客様の前では、身分の低い人はもとより、犬猫にいたるまで決してしかり飛ばしてはいけませ ん。また、目上の人の前で、ものを吐いたり、しゃっくりやげっぷ、くしゃみやあくび、わき見、背伸 び、物に寄りかかるなど、失礼な態度に見えるような仕草をしてはいけません。
十六、年上の人から何かを聞かれたならば、自分から先に答えないで、その場におられる方を見回して、どな たか適当な方がお出でになっていたら、その方に答えてもらいなさい。自分から先に、知ったかぶりを して答えてはいけません。
十七、みんなで集まってわいわいお酒を飲んだり、仕事もしないで、女の人と遊ぶいかがわしい場所に出かけ るのを楽しみにしてはいけません。特に男子は、年が若い頃は女子と二人だけで遊びたい本能をおさえ ることは、なかなか難しいとされています。だからといってそのような遊びを経験し、癖ともなれば、 それこそ一生を誤り、大変不名誉な人生を送ることになりかねません。だから、幼い頃から男と女の区 別をしっかりし、女子と遊ぶ話などしないことが大切です。あるいは、下品な言葉を発して回りの人を 笑わせたり、軽はずみな行いをしてはいけません。なお、喧嘩は自分で我慢ができないから起こるもの であって、何事も辛抱強く我慢して喧嘩をしないように、いつも心掛けなさい。

六歳から九歳の時の什の掟に比べると、内容が細かく多岐にわたります。これらをしっかり身につけることが 誇りある会津の武士の子供として一人ひとりに義務づけられていたのです。

「個性尊重、価値観の多様化」の名の下に「なんでもいい」「なんでも許される」傾向にある今に生きる私達 も、襟を正す思いでこの心得を拝したいものです。

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