「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム 文⁄塾長 大山重憲

2012年8月

U女子高校のソフトボール部の練習試合でのことです。

U高校は6月に3年生が引退し、ナイン全員が2年生の新チームとしては初めての練習試合です。ソフトの未経験者が半分以上を占めるU高校に対して、対戦相手のK高校は部員が1・2年生合わせてやっと10人の混合チーム。もともと立ち上がりに課題のあるU高校のピッチャーが3回までに3点を取られ、攻撃ではヒット性の打球も相手の好守備に阻まれ、いくつものチャンスがありながらも得点に結びつけることができずに中盤戦に入っていきました。

4回、U高校は下位打線からヒットが生まれ、エンドランも決まり、相手のミスも誘って一気に3点を奪取、最終回には内野安打から出塁した選手が盗塁に成功、タイムリーヒットで逆転し、結果的にはU高校が4対3で勝ちました。お互いにエラーがほとんどなく、緊張感のある好ゲームでした。

試合後の保護者会。夏合宿に関しての打ち合わせも兼ねての話し合いの場では、子供たちはソフトが大好きで、部活がないと憂鬱で、試験期間が終わると途端に生き生きし出す、とか、家での話題と言えば部活の先輩後輩同輩のことばかり、など、和気あいあいとした話が飛び交いました。皆、部活が大好きで、勉強との両立とは程遠い生活を何とか軌道修正しなければならないことは重々承知ではありながら全く如何ともしがたい現状に、打つすべもないまま流されていっている様子が手に取るように伺えました。

さて、私が試合で最も感動したことと言えば…。

両校共に、選手たちの笑顔がとても爽やかだったことです。リードしていても、されていても、皆で声を出して励まし合い、プレーの一つ一つに気持ちを重ね合わせていたように感じられて、試合の勝ち負け以前に、ゲームを皆で作り上げている、楽しんでいる、一体感を共有し合っている様子が伺えて、こちらも熱くなってきました。こうして友情が育っていくんだろうなあ、絆が深くなっていくんだろうなあ、若さっていいなあ、と思いました。

高校生の彼女たちは、決してプロを目指しているのではありません。好きで、単純に好きでやっているわけで、もちろん、試合には勝ちたいし、上手くなりたいし、そのためにも苦しい練習にも耐えているわけですが、そういう過程での心身共の頑張りが、彼女たちの成長の糧になっているんだろうと、しみじみと感じさせられました。

自分の高校時代を振り返ると、自分は水泳部にいましたが、競技そのものは個人競技ではありますが、練習は皆と励まし合いながら頑張りましたし、リレーはメンバー皆で一体感を味わったものです。自分のミスで迷惑をかけた、苦い思い出もあります…。部活での頑張りや先輩後輩同輩たちと励まし合ったことが、今の自分を築いてくれる糧になっていたことを、この度の彼女たちの姿を通して改めて気付かされました。

一つのことに一生懸命。いいなあ、と思います。たとえ試合で、演奏会で、試験本番で、結果が失敗であったり残念な結果であっても、一生懸命頑張ることが素晴らしいことだと、改めて思わされます。一生懸命頑張っている人を見ることで自分も力をもらえる。励まされる。自分も頑張ろうと思える。単純にそう思えるのです。

純粋に頑張ってる姿。一心不乱に頑張ってる姿。私たち人間はそういう一生懸命さに触れると感動するようになっているようです。そして感動が多ければ多いほど生き生きしていられるのではないかと思います。

感動体験。たくさんの感動を、求めて、そして与えてもいきたいものです。

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