「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム バックナンバー 文⁄塾長 大山重憲

2011年5月

恩返し

やり場のない悔しさと、言葉にならない思いを噛み締めながら、それでも生きていることへのありがたさを一縷の力とし、被災地の人たちは前を向いて進んでいるように思えます。

このたびの震災が、日本のみならず世界全体を揺るがす歴史的な大震災であることは、東北地方の日本に占める役割の大きさにとどまらず、世界に占める役割の大きさを改めて証明する事態となったことからも言えることだと思います。そしてG20の共同声明において「日本の経済・金融の回復力を信認する」と復興への期待を示したうえで「必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」と、日本を支援することが明言されたことは今までの日本の国際社会に与えてきた影響力と 貢献度の大きさを改めて証明することともなったと思います。

さて、日本国内でも海外でも、今回よく耳にする言葉は「恩返し」です。阪神淡路大震災の被災者たちから、中越地震の被災者たちから、奥尻島の被災者たちから救援物資が届けられ、ボランティアに駆け付け、そして世界各国では、日本に留学したことのある人たちが義援金募金をしたり、タイの貧民層でも救援募金をしてくれていたりしていました。「あの時お世話になった恩返しです」「いつも世話になっていますから」と言って。まさに「情けは人のためならず」の意味を教えてくれていました。

私たちも「自分にも何かできることはないか」「何かしてあげたい」と、誰しもが思ったのではないでしょうか。私も、いてもたってもいられなくなり、毛布・布団・タオル・洗面具・文具・子供の遊び道具、等々、子供と一緒に三橋総合公園やスーパーアリーナに届けに行きました。活動するボランティアの人たちには頭の下がる思いでした。自分もできることがあったらやってあげたいと、ボランティア受付に行ったところ、すでに希望者多数で受付締切とのこと。それもまた驚きでした。双葉町から避難してきた人たちを目の当たりにすると、自分の今の生活に何の不平も不満も言ってはいけない、今の生活ができているだけでよしとしなければいけないと、心底思わされました。そして、これからも自分のできることを探してやっていきたいと思わされました。

その後も現地には次々と救援物資が届けられ、ランドセルや老眼鏡なども届けられているようです。今や、日本人すべからく、被災した人たちの助けになりたいという思いを抱き、被災地の一日も早い復興を願うと同時に、自分たちの生活を見直し、被災した人たちの気持ちを心の片隅にであっても少しでも共有することによって、この国難に立ち向かっていくべきだと思います。政治の力も試されています。同時に私たち一人一人も、試されているのだと思います。

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