「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム バックナンバー 文⁄塾長 大山重憲

2011年2月

方便

方便としてのウソは時に人を鼓舞・激励し、美徳に変容するものです。示唆・教訓に富んだ例え話が、どんなご立派な窮屈な説教よりも説得力があり素直に受け入れられるものであるということは、改めて論を待たない事実でしょう。

今回は『農夫とそのこどもたち』(ラ・ファンテーヌ著)というお話を紹介します。

骨折って働くがいい。それが何より間違いのない元手。

ある裕福な農夫は、死が近いことを悟って子供たちを呼び寄せ、他に人がいない所で語った。

「ご先祖様が残してくれた土地を売るようなことはせぬがよい。宝が隠してあるのだ。場所はどこか、私は知らぬ。だが、少し根気よくやってみれば見つかるだろう。探し出せるだろう。取り入れが済んだらすぐに畑の土をひっくり返せ。掘り返し、鋤き返し、深く掘り起こしてどこもかしこも、何べんもあたってみるのだ。」

父親は死ぬ。息子たちは畑をひっくり返してみる。あちこちと、いたるところを丹念に。そして一年後には、畑は例年より豊かな収入をもたらした。隠し金はなかったが、父親は賢明にも、死に先立って息子たちに教えたのだ。労働は宝であることを。

「勉強は何のためにするの?」生徒に聞かれることがよくありますが、答える話として、貯金の話をよくします。

「少しずつ貯金箱にお金を貯めていくといつの間にかいっぱいになって欲しいものが買えるようになるでしょ。お金がいっぱいたまって損したと思う人は一人もいないでしょ。勉強も、大人になって『いっぱいして損したなぁ。勉強なんてしなけりゃよかった。』なんて後悔する人は一人もいない。みんな、もっと勉強しておけばよかった、と思ってるんだよ。勉強も少しずつでもしていくと、いっぱいたまって、自分という財産を豊かにしてくれるものなんだ。だから、勉強という貯金を少しずつでもしていこうね。

さて、受験シーズン到来。第4コーナーを回り終えて、いよいよ最後の直線。ゴールのテープをめがけて最後の力をふりしぼって駆け抜ける時です。受験生にとっては総決算。今まで貯めてきた貯金が「合格」に結実する時です。

受験生諸君の健闘を、心から願っています。

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