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今月のコラム バックナンバー 文⁄塾長 大山重憲
2010年5月
ルール(rule)
Ruleのないスポーツはなく、ruleが遵守されなければゲームは成立しません。違反すればペナルティが課せられる。それもまたruleです。
バスに乗るにも電車に乗るにも運賃を払う。レストランで食事をしたり買い物をしたらお金を払う。当たり前のruleです。ruleに違反することで秩序が崩れ、紛争が起きたりし、社会も人間関係も混乱していく。
喧嘩にもruleがあります。『男はつらいよ』の中で寅さんに、おいちゃんが「お前なんか出てけ。もう帰ってこなくていいからな。」との言葉に対しての寅さんのセリフ。「それを言っちゃあおしめえよ。どうせおいらはこのうちには厄介者なんだろ。もう二度とこんなうちには帰ってこねえからな。じゃあな、あばよ。」と言って旅に出ていく。そして、おいちゃんは「ああ、言っちゃった。言わなきゃよかったなぁ。」と後悔するのです。喧嘩にも言ってはならない言葉があって、喧嘩もruleを守りながらやりなさいと教えてくれているようです。
宇宙も自然界も誰が定めたともないruleが守られながら存続されているのは誠に不思議です。
最近では「空気を読む」などという便利な言葉が流布されていますが、周りの目を気にして言いたいことも言わずに我慢するのとは違って、空気を読みながら言動をとる。これはruleとは違ったひとつの知恵でしょう。人間関係を円滑にするセンスとも言えるでしょうか。空気を読めないから「自己中」などと言われるのでしょう。
最近読んだ本の中で自分自身を見つめる観点について教えてくれた一節があったので
紹介します。
「おおかたの人間は、自分に甘く、他人に厳しい。
どうしてそうなるかと言うと、自分を見るときにはあまりに近くの距離から自分を見ているからだ。そして、他人を見るときは、あまりにも遠くの距離から輪郭をぼんやりと見ているからなのだ。
この距離の取り方を反対にしてじっくりと観察するようにすれば、他人はそれほど非難すべき存在ではないし、自分はそれほど甘く許容すべき存在ではないということが分かってくるはずだ。」(『さまざまな意見と箴言』ニーチェ著)
人は人の単なる一面しか目に入らず判断・評価・批判しがちです。木を見て森を見ずという誤謬を犯さず、人をも自分をも許容できる自分になりたいと、思いました。