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今月のコラム バックナンバー 文⁄塾長 大山重憲
2009年12月
到達点
神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー兼総監督・元ラグビー日本代表監督・日本サッカー協会理事の平尾誠二さん(伏見工業高校で全国大会優勝。同志社大学で史上初の大学選手権3連覇。神戸製鋼では7年連続日本一。ワールドカップ3大会連続出場)の某経営セミナーでの講演から。
「今の若者たちは鍛えられていない。私が高校生だった頃、監督から『帰れ、やめろ、明日から来るな』と言われても、何くそ、と思って一層頑張ったものなのに、今の若い人に同じことを言ったら本当にやめてしまう。『なんでやめるんだ?』と聞くと『初めに思っていたのと違う。自分には合わない』と言う。世の中そんな面白いことばかりじゃないでしょ。辛いことの方が多い。なのに頑張ることをしない。で、『これからどうする?』と聞くと『自分探しの旅に出る』と。そんな旅をしても自分を見つけることはできません。」
「サッカー日本代表監督の岡田氏が言ってました。『今の選手たちは感情をあらわにしない。勝ったら嬉しい、負けたら悔しい、でいいじゃないか。勝っても嬉しいんだか、負けても悔しいんだか、とにかく感情を出さない』と。湿度が低くなってきている。指導者にも同じことが言える。感情を抑えることなくもっとむき出しにしたらいい。」 「ゲーム中に反省なんかしていたら先に進まない。次どうしようと考えなければ。1ゲーム100分を人生100年に例えたら、ゲーム中の2分の反省は人生の2年分。2年も反省なんかしてられますか?同じ局面は二度と来ない。だから監督から言われました。『死ぬ気でやらんかい』と。」
「今まで出会った中で、面白い人と面白くない人がいる。面白くない人と言うのは20年先のことを考えて諦めたり不安がったりして今何もしない。だから暗い。一方、おもしろい人というのは、今ここしかない、ここがすべて、と思って、今ここに全力を尽くしている。明日に持ち越していない。だからとても元気で明るい。」
「満足のいったゲームは今までに一試合もない。どの試合も不満だらけ。」
先日お亡くなりになった森繁久弥さんは「ほんとに、すべてが完璧に運んだ舞台というものは100回に1回ぐらい」(舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」に関して)とおっしゃっています。
示唆に富んだ言葉をたくさん浴びて、色付く木の葉の積もった小道をゆったり歩いていました。うつむきがちな背中を真っすぐ伸ばして、前を向いて…。